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『事業承継』について (商売のヒント vol.51)
  秋も日に日に深まってきています。11月になってから少し安定した秋らしい日が続いているような気がしています。都内では桜の葉が落ちてきていますが、まだイチョウの葉は緑から少し黄色がかっている程度です。イチョウの葉がすべて落ちる頃には本格的な冬の季節の到来になることでしょう。もうすぐ師走、あっという間の一年という感覚は年齢を重ねるごとにスピードが上がっているような気がします。
  私は以前お話しした「ふるさと納税」を実行しました。本来であれば来年6月以降に払うはずの住民税を半年程度前倒しで払うことにはなりますが、ふるさと納税のオマケにつられて納税しました。私が「ふるさと納税」をしたのは、鳥取県です。鳥取県に6万円以上「ふるさと納税」するとズワイガニ2匹が贈られてくるというので、ちょうど6万円「ふるさと納税」しました。11月の初めに納税して、まだ贈られては来ませんがいつ届くのかちょっと楽しみです。来月いっぱいは「ふるさと納税」が確定申告に間に合いますので皆様もいかがでしょうか?
毎度のことながら、皆様の『商売』の分野については素人の私ですので未熟な私の哲学や思い込みもかなり含まれていくことになるとは思いますが、その時は御笑覧いただければ結構です。それでは第51回目を始めましょう。
 
 
『事業承継』について
 
 私は今、東京中小企業家同友会というところで事業承継プロジェクトというプロジェクトに参加させていただいて、中小企業の事業承継について、いろいろな会社を訪問させていただいたりして事例の研究や発表をさせていただいております。中小企業の事業承継は、十人十色、百人百様の様相で一つとして同じやり方で成功するというものではありません。ただ、その中でも普遍性のある事柄を探していけば少しでも中小企業のお役にたてるかもしれないということで、その一端をご紹介したいと思います。
事業承継については、本当にいろいろな要素が含まれていて、経営、法務、税務というところが複雑に絡み合っています。基本的なところでは、経営力の承継というところが私自身は一番大切と考えています。創業経営者の事業開発力や開拓力というものは簡単に誰でも承継できるというものではありませんし、経営環境も創業者の時代とはずいぶん変わってきているのも実情です。
そのような経営力というものは、どこか学校に行って教えてもらえるものではなく、常に実戦の中から身についていくものと私自身は考えていますが、創業経営者の方々とたくさんお目にかかっている中で「これは商売になる!」というような商材や事業構造を見つけた時のすさまじい「突破力」のようなものは、なかなか教えることもできないでしょうし、いつも感心させられることでもあります。常に商材開発、業態開発を会社内で最重要課題と位置付けて全員で取り組みをしている中からそのような力が養われていくと思いますが、創業経営者自身は誰からも教わったことがなく、当然のこととしてそのような発想になっているわけですので、創業経営者の「当然」と社員や二代目の「当然」は随分違うことと思います。
このようなことをはじめとして本当にいろいろな問題が立ちはだかっています。そのような中、問題点をある程度構造的に把握して質問事項を整理してみました。事業承継を成功といえるかどうかは別として、それなりにうまくいかれている会社を訪問するときに、創業経営者の方と承継者の方にお聞きする内容です。
 
「事業承継で聞きたいポイント」
 
【会社概要と役員構成】
・簡単な沿革、売上高、社員数、平均年齢、資本金等

・事業承継前後の役員構成
 
【事業承継のタイミングと後継者の選択】
・事業承継の時期

・準備期間
・後継者の選択ポイント
・後継者に事業承継すると伝えたシチュエーション
・後継者は指名されてどう考えたか?
 
【借入金、保証人問題】
・借入金額

・保証人は誰
・金融機関への説明は?
・今後、保証人はどうする?
 
【株式問題】
・株主構成は?

・配当は?
・今後、株はどうするか?
 
【他の選択肢の検討は?(事業譲渡やM&A)】
・事業譲渡、M&Aという選択肢は考えたか?

 
【会長・社長のビフォア、アフター】
・社長から会長になって一番変わったことは?

・社長になって一番変わったことは?
 
【今後の事業方針と成長戦略】
・今後の事業方針と成長戦略は?

 
【次期後継者は?】
・次期後継者を考えているか?
 
【引退後は?】
・引退後の人生設計で考えていることは?
 
 
 
このように、質問事項をある程度整理してお話しいただくようにしております。これらの内容の中から普遍性のある事柄を探して、どこの会社でもお役にたつ事柄を抽出していこうというわけです。
税理士という専門家の立場からすれば、一番大きくかかわってくるところが株式の問題となってきます。
この解決の一番の手法は、地味ですが株の連年贈与ということになります。現在、贈与税の基礎控除は年間110万円となっています。贈与税の税率は非常に高いのですが、課税価格200万円までは10%の税率が適用されます。ということは、110万円+200万円=310万円までは最低税率の10%で課税され、税額は(310万円−110万円)×10%となり20万円の贈与税となります。したがって10年繰り返せば3,100万円分の贈与を贈与税200万円でできることとなります。子供が2人いたら6,200万円の贈与が可能となり、相続税の節税効果もかなりのものとなります。ただ、一見非常に地味な取り組みなので、経営者の方からは軽く見られがちですが10年後は他の経営者の方からは「うまくやった」と言われることになると思います。
この連年贈与でキーポイントになるのが二つあります。一つは株価の問題です。毎年株価を算定して贈与税の計算の基礎にするわけですので会社が好調の時は高く、業績がイマイチの時は安くなります。あえて業績を低くするというのは本末転倒ですが、面倒くさがらずに株価の算定を毎年依頼されるのがよろしいかと思います。二つ目は贈与証書と取締役会議事録となります。株式会社の登記簿に株を譲渡する場合は取締役会の決議を要すると書かれている会社では取締役会の議事録が必要となります。基本的には取締役会を開催していただくことになりますが、議事録は同じ内容となりますので、日付と株数の欄だけ空白のものを一度作成すればあとは毎年そこに日付と株数を記入するだけとなります。贈与証書は民法の規定ともかかわってくるのですが、贈与というものは「ただであげるよ」と言っただけでは成立しません。相手方が「わかりました。もらいます」と言って初めて成立するものですので、その証拠を作っておかなければなりません。この贈与証書も非常に簡単な書式となっておりますので、一度日付と株数の空白のものを作成されると使いまわしができるものです。この二つのポイントさえ押さえて、連年贈与するというのが普遍性のうちの一つの要素と考えております。
最大のネックは借入金・保証人問題ですがこちらの普遍性といえるものは、残念ながらまだ見つかっておりません。ただ、すべての訪問させていただいた会社様には質問させていただいておりますので、そのうち普遍性らしきものが見えてまいりましたら、またご報告させていただきます。
 
end
 
 
author:吉村 以知郎, category:2013年, 14:00
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