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『2010年』について (商売のヒント vol.4)

 皆様、いつもお世話になりありがとうございます。いよいよ12月になりました。12月といえば賞与ボーナスの季節です。普通、一般的にはボーナスというものは「貰うもの」となっていますが、経営者にとってみればボーナスとは「払うもの」とまったく逆のイメージになっているのではないでしょうか。私も独立して14年になろうとしていますが、最初の頃は本当にイメージのギャップが激しく、なかなか「払うもの」と自分自身に無理やり理解させるのに何年も時間がかかりました。ボーナスでもう一つ頭を悩ませるのが、その金額です。最初の頃は、何人もの先輩の税理士さんに「どのように算定しているのか。」聞いて回りました。結論は全員「鉛筆なめなめ」方式で、あっちを増やしてこっちを減らす的にやっているということが分かりました。それ以来、私もまず総枠を決め、後は配分をどうするかというやり方でやっております。そのようなわけで毎度のことながら、皆様の『商売』の分野については素人の私ですので未熟な私の哲学や思い込みもかなり含まれていくことになるとは思いますが、その時は御笑覧いただければ結構です。それでは第4回目を始めましょう。

『2010年』について

さて、先月はトリモチをどこにもっていくかというお話をしましたが、今度はそのトリモチをもっていくための、日本や世界を取り巻く経済の状況はどうなるかということを考えてみましょう。。

私は、経済学者でもエコノミストでもないので、あくまで私はこう思っているというレベルでのお話ですので、最初にお断りしておきます。

為替は1ドル70円台まで一時的に円高になる可能性があります。

金はドル下落の分、上昇します。

ユーロ圏の国で債務不履行が起きる可能性があります。

日本のデフレは進行します。

このようなことが、70〜80%の確率で起こると考えております。

 まず、ドルの状況ですが、つい先日「ドバイ・ショック」というのが起こり円は即座に値上がり84円台をつけました。中東の資源も何も無いマネー立国の国ドバイで投資資金の返済のめどが立たず、一時的に債務不履行となったものです。総額5兆円程度の話ですが、世界中をあっという間に影響が駆け巡ったのは記憶に新しいところです。ドバイで、この影響度なのですからもっと大きい国が債務不履行となった場合、ドルは瞬間的かもしれませんが60円台までいく可能性があります。その大きい国はどこかというとユーロ圏の国の可能性がかなり高いのではないでしょうか。日本では、一万円札を見ると「日本銀行」と印刷されています。つまり、極端な話、日本円で借りたお金は、日銀が輪転機を廻すと借金返済に使えるということです。日本では、財政悪化が叫ばれて久しいですが、最後の手段は国の借金である国債分印刷すれば債務不履行にはなりません。ところが、ユーロは最後の手段を使えない通貨なのです。金融立国していたアイスランドという国がリーマンショックで一瞬でつぶれたように金融立国しているベルギーなども、もしかしたら債務不履行ということになるかもしれません。

 また、ドルは世界の基軸通貨という地位を保っていますが、その価値は常にアメリカの都合のいいように下落しています。私の子供の頃は、1ドル360円でしたがニクソンショックで3分の2になり、プラザ合意で3分の1になりと、どんどん下がっています。今後もこの基調は続くものとみてよさそうです。

 ドルの下落に逆比例して値を上げているのが金です。ここ1、2年は金が堅調に値上がりするとみてよさそうです。

日本に限って言えば、デフレの進行を止める手立ては2つです。企業業績の回復と連動する賃金(所得)の増加が一つと個人や政府の借入金による可処分所得の増加の二つです。今現在では、一つ目の企業業績と連動する賃金の増加というのはあり得ない事となってしまったようです。大企業はリストラにより利益を出す傾向にあり、賃金は企業業績と連動しなくなっています。二つ目も個人、企業、政府もこれ以上借金ができない状況であることは明らかです。従って、デフレの進行は止まりません。家具のニトリという会社の社長さんは「デフレ結構」とおっしゃっていますが、私にはダイエーの中内さんとダブって見えます。

さて、来年は世界経済、日本経済両方ともあまりいい年とはならないようですが悲観することはありません。なぜなら、現実問題としてバブル崩壊以降、デフレに直面するのは日本が2度目となり、世界の国々は初体験なのですから前回のデフレのとき、どうやって乗り越えたかという経験則が働きます。ただ、前回は国債を増やしてカネをばらまいた政府がいましたが、今回の民主党にはあまり期待できないというのが実情でしょう。従って、デフレの進行度合いが前回よりも厳しくなることが想定されます。

デフレの一番の問題点は「需要」の減少ということです。ただ、全てが減少するかというとそうではありません。「今までと同じもの」だけ需要が減少することになります。たとえば「牛丼」を例に取りますと、去年食べた牛丼と今年食べた牛丼は「同じもの」でしょう。ですので、このような「今までと同じもの」については値段競争になっていきます。ですが「今までにないもの」を作った場合、値段競争にはなりません。吉野家だって、かつて今までにない「牛丼」というものを発明したわけですから、みんながお金出しても食べたいというものを開発工夫する必要があるというわけです。

会計事務所も一緒で「税金計算」という「吉野家の牛丼」だけでは食べていけない時代がすでに到来しています。しかし、会計事務所の9割以上は「税金計算」という「吉野家の牛丼」だけを値引きして生きながらえようとしています。そのうち味を落とすことにつながっていく事は明白でしょう。味を落とさないのは最低限の守らなければいけないことですが、そのためには新しい業務なり仕事を開発工夫しなければなりません。このことは、周りが「吉野家の牛丼」にこだわっている、あるいはこだわらざるを得ないというのは見方を変えると大きなチャンスといえます。周りができないこと、あるいは目を背けていることこそお客様の大きなニーズとなっている場合が多いのです。たとえば、今日やってきた仕事は、サービサーに売られた1億近くの借金を300万円弱でチャラにしてきました。このような仕事も会計事務所では余り手をつけたがらない部分です。相手が弁護士ならなおのこと及び腰になってしまうでしょう。

そのような仕事が皆さんの周りにもきっとあるはずです。皆さん自身の「吉野家の牛丼」は「吉野家の牛丼」で味を落とさずに次の商品開発、業態開発を来年に向け一緒に考えませんか。周りよりも一日でも早く次の一手をものにするために動きましょう。世の中には、作用反作用の法則というものがあります。動けば必ず見つかるはずです。

author:吉村 以知郎, category:2009年, 13:17
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『その鳥を狙うな』について (商売のヒント vol.3)

 皆様、いつもお世話になりありがとうございます。早いもので『商売』のヒント3回目となります。また2009年も残すところ2ヶ月となり来年は2010年、あの「ミレニアム」騒動から10年も経ってしまったことになります。先日ある本を読んでいましたら、月日が経つのが早く感じるのは毎日が面白い映画を見ているように集中して過ごしているからと書いてありました。確かにつまらない映画を見ている時や嫌いな事をやっているときは時間が経つのは長く感じられますが楽しいことや好きなことをやっていると時間はあっという間に過ぎてしまいます。毎日の一つ一つの事柄は決して楽しいことばかりではありませんが、月日が経つのが早く感じられるというのは総合してみると、やはり楽しかったのだと考えたほうがよいのかもしれませんね。前置きはこのぐらいにしておいて毎度のことながら、皆様の『商売』の分野については素人の私ですので未熟な私の哲学や思い込みもかなり含まれていくことになるとは思いますが、その時は御笑覧いただければ結構です。それでは第3回目を始めましょう。

『その鳥を狙うな』について

 この言葉は、私の所属するTKC全国会という税理士、会計士の集団の初代会長である故 飯塚 毅先生の「会計人の原点」という本に書かれている言葉です。私はこの「会計人の原点」という本で飯塚先生を知り、本来「職業会計人」とはこうあるべきだ、また、こうあらねばならないという部分に感動し、今日の私がこうして生活できているという本当の恩人中の恩人ともいえる方です。それでは「会計人の原点」150Pから「その鳥を狙うな」の一節を御紹介しましょう。

 これは市村清氏(株式会社リコーの元社長)が昔、帝国ホテルで講演された演題であります。その内容は、同氏が父親に連れられて、すぐ近くの裏山へ小鳥をとりに行ったそうです。ところが父親は百発百中で小鳥をとるのに、市村少年は一羽もとれなかった。その時に父親がこう教えてくれたのだそうです。「お前はその鳥をねらっているのとちがうか」と。つまり、そこにとまっている鳥を狙って、そのまま真っ直ぐに鳥のところへトリモチを持っていった場合には、鳥はまことに簡単にサッと枝から離れてトリモチの先から逃げる。だから絶対にとれないというのです。「じゃ、お父さんは?」「よく見ろ、ほら俺のやるのを見ていろ」。父親は、木の枝ぶり、風の吹き方を見て、そしてガサガサと近づけば鳥は必ずこの方向へ飛び出すであろうという方向に竿を持っていくのだそうです。ガサガサと音がして鳥が飛び立った丁度その時に、トリモチの竿にくっつくその方向に父親は竿を出したそうです。

 市村氏は、貧乏な農家の子に生まれて、日本の一流大実業家に育った有名な方ですが、その大実業家に育つための原理、極意、それを少年時代に父親から小鳥の問題になぞらえて教えられたそうです。「その鳥を狙うな」と。

 しかるに我が国の多くの経営者を見ていると「あっ、あいつはあれで儲けている。じゃ俺も」とこうやる。馬鹿げています。「その鳥を狙うな」とは逆です。

そうではなくて、皆さん方は国民経済をよりよく調べて、そして「国民経済はこっちへ向いているんだな。そうか、そうするとこういう需要が主に増えてくるのだな。不景気になってもこういう需要は落ちないな。そうか、それでは俺はそこに向けてトリモチのついた竿を突き出すぞ。そうすれば百発百中だ」と。つまり、その鳥を狙ってはいかんというこの市村清氏の父親の教えというものは、今日の転換期に立つ我が国の経営者にとっても、重大な教訓であるといえます。

 皆様いかがですか?非常に示唆のとんだ内容とお考えになりませんか。理屈はわかったけれども具体的にどうすればいいというのが、とりあえずの疑問でしょうか。皆様の個別の対処方法はゆっくり御相談させていただくこととしましょう。

 私たちの業界の例をとれば、平成21年1月時点で税理士の総数は7万1千人になります。10年前の平成11年は6万5千人弱ですから10年で6千人ほど増えた計算になります。一方、公認会計士は平成15年では約2万人ですが、平成19年より合格者数を大幅に増やし年間約3000人ずつ合格させ平成30年には5万人規模にする予定です。また、弁護士の数も平成21年現在約2万7千人ですが、こちらも毎年3000人規模で合格者を増やしていきますので平成30年頃には5万から6万人規模になるものと思われます。公認会計士、弁護士ともに数のみ増やして、お客様の数は増加というより減少傾向ですので当然本業にあぶれる資格者が出てくるものと思われます。あぶれた者は、税理士の分野に進出してくるのは、ほぼ間違いないものと思われます。あと10年もすると税理士数は約8万人、公認会計士、弁護士のあぶれ組各1万ずつと考えても合計10万人のプレーヤーが存在する計算になります。次にお客様の数ですが中小企業白書によれば2001年(平成13年)の事業所総数は470万社とされており、2004年(平成16年)には433万社、2006年(平成18年)には421万社となっております。5年間で約1割の減少傾向となっております。単純計算でも平成30年(2018年)では340万社程度になる可能性があります。パイは減りプレーヤーは増える。小学生でもその結果は簡単にわかりますよね。丁度、今のジーンズの安売り合戦のようになるのは明らかです。

さて、この事実を踏まえて、私自身、どこにトリモチを持っていくかということが問題になります。私の会計事務所では元来、法人専門でやってまいりました。従いまして、法人税のレベルに関してはかなり高度のレベルを保っている自信があります。一つ目の軸足は「高度な法人税のお役立ちができる事務所」となります。二つ目は、事業再生等を通じて一緒に事業経営を考え、販売の貢献を基礎とした利益アップのお手伝いをした時にお客様から言われた「ありがとう」の言葉の深さに、自分自身の社会貢献の度合いの深さを感じました。世の中、カネを尺度にすると限度がありますが、感謝や喜びを尺度にすると限界はないはずです。お客様が、一番、感謝や喜ばれることをお客様とともに考え結果を出していく、そのような会計事務所を目指そうと思っております。

さあ、皆様はどこにトリモチをもっていきますか?

author:吉村 以知郎, category:2009年, 13:04
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『目立ってなんぼ』について (商売のヒント vol.2)

 皆様、いつもお世話になりありがとうございます。先月から始めた『商売』のヒントいかがでしたでしょうか。賛否両論あるとは思いますがしばらく継続してみたいと思います。毎度のことながら、皆様の『商売』の分野については素人の私ですので未熟な私の哲学や思い込みもかなり含まれていくことになるとは思いますが、その時は御笑覧いただければ結構です。それでは第2回目を始めましょう。

『目立ってなんぼ』について

 先日、日曜日の夜に何の気なしにテレビで「エチカの鏡」という番組を見ていたら面白いことがありましたのでお伝えします。ご覧になった方も多いかと思いますが、その番組では単身アメリカに渡り苦労しながら「テリヤキソース」で大成功した吉田潤喜さんという経営者の話をやっておりました。その中でその吉田さんは商売のコツを5つほど掲げておりました。御紹介しますと1.目立ってなんぼ。2.すぐにやる。3.失敗は忘れる。4.プライドを持つ。5.できる方法を考える。(順不同)でした。この中で私は1番の「目立ってなんぼ」になるほどと思ってしまったわけです。独立開業した当初、「どうしたら吉村という税理士を知っている人を増やすことができるか?」と自問自答し、いろいろあの手この手で暗中模索、犬も歩けば棒に当たる状態であっちこっち顔を出していた自分を思い出しました。吉田さんは「その人なりの目立ち方はいろいろあると思うが目立たなかったら商売にはならない。所詮目立ってなんぼや。」とおっしゃっていました。ちなみに吉田さんはアメリカのスーパーでは珍しい実演販売を侍の衣装など突飛ないでたちでやったり、テレビCMでも突飛な衣装で自ら出演したりいろいろなさってきたようです。

 さて、私を含めて中小零細企業では、この「目立ってなんぼ」という部分は頭でわかっているけど、どうしたらよいかわからない程度の認識になっているのではないでしょうか。この吉田さんのように「商売の鉄則」として頭と体に刻み込むまでいっていないのではないでしょうか。私の会計事務所を例に取れば全国の中小企業の数は430万社だそうです。私を知っている経営者の数はせいぜい100人程度でしょう。率にして0.0023%、何と4万3千人に1人の割合でしか私を知っている経営者はいないことになります。あとの4,299,900社にとっては吉村会計事務所は「存在しない」のと同じこととなります。現実には東京都中央区に「存在」しているわけですが、知らない人には「存在しない。」何か哲学的ですが現実の状況は圧倒的に「存在しない」のとほぼ同様といえるのではないでしょうか。地域、職種、規模等のターゲットの絞込みは必要としても「存在しない」状況を少なくても「存在していることを知っている」状況に変える必要は十二分にあることがわかります。では具体的にどうするかとなりますと妙手はすぐに思い浮かばないというのが、お恥ずかしい限りですが現状です。ですが吉田さんの商売のコツの中に「すぐやる。」「失敗は忘れる。」「プライドを持つ。」「できる方法を考える。」というのが入っていました。一つ付け加えるならば「達成したときのイメージをより具体的に持つ。」というのが必要かもしれません。達成したときのイメージを勝手にいろいろ想像して、できる方法を考え、這いつくばるのではなくプライドを持って、すぐにやってみて、失敗はすぐに忘れ、またすぐやってみるということが大切だと思いました。

後日談になりますが、私は東京中小企業家同友会という会の会員になっているのですが、そこで研修会があり参加してまいりました。日刊工業新聞というあまり聞きなれない新聞ですが支社長曰く、れっきとした社説やコラムがある新聞だそうです。「的確な情報発信で、見せる経営力を磨く」というタイトルで約1時間半講演を聴いてまいりました。その中で、新聞の記事の作成過程やニュースの取捨選択の方法など興味深いお話を伺いました。なかでもビックリしたのは新聞社に各企業やら役所が勝手にバンバン自分の会社の新製品やら新情報や人事のことまで「プレスリリース」と称してFAXを送りつけているのだそうです。それをデスクという方が取捨選択し、記者に振り分けているのだそうです。その後、記者が興味を持った自称「プレスリリース」には取材の申し込みをして記事を書き、またまたデスクが取捨選択し記事になる。という流れだそうです。記者が一日に受け取るプレスリリースの数は1から5枚程度だそうです。3大新聞や日経などはその量が膨大なことは想像に難くないですが、地方紙などは日刊工業新聞と大差ないと思います。犬も歩けば棒に当たる程度の確率かもしれませんが、タダで「目立ってなんぼ。」を実現する方法もあるのですね。ちなみに日刊工業新聞社のFAXは03−5644−7249です。

 どうです、皆さんも自称「プレスリリース」で「目立ってなんぼ」はいかがですか?                     

author:吉村 以知郎, category:2009年, 12:46
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『人材』について (商売のヒント vol.1)

 皆様、いつもお世話になりありがとうございます。今月から毎月1『商売』のヒントを皆様にお届けしたいと思います。当然のことながら私は会計事務所という『商売』は熟知しておりますが、皆様の『商売』の分野については素人です。ですが、いろいろな御商売の方を拝見している職業柄『傍目八目』の視点で『商売』というものを私なりに分析し、皆様の『商売』のヒントに一つでもなればという想いで創めました。今後、この文章の中には未熟な私の哲学や思い込みもかなり含まれていくことになるとは思いますが、その時は御笑覧いただければ結構です。それでは第1回目を始めましょう。

『人材』について

 大企業ならまだしも当事務所も含めて中小零細企業では『人材』ほど経営者が不足していると感じているものは、資金繰りの苦しいときの『カネ』を除いてはないのではないでしょうか。よくお聞きする言葉に「ウチの人間じゃ駄目だ」とか「ウチの営業じゃできない」という言葉を耳にします。経営サイドから見ると「もっと優秀な人間がいれば助かるのに」という気持ちは充分すぎるくらい分かります。それでは働く人間側からするとどうでしょうか。「こんな給料の安い何時つぶれるか分からないところで働くのはいやだ。」となるのは自明の理です。私も一番最初に雇った人間は「銀行預金にこれだけの金額しかないところで働けない。」といって辞めていきました。次に雇った人間もその次も同様に1年もたたずに辞めていきました。決して待遇が悪いわけでもなく、何とかいい暮らしをさせてあげようと一生懸命社員の分まで働いているのにもかかわらず、親の心子知らずで簡単に辞めていきます。皆様のところも私ほど酷いところはないにしても似たり寄ったりの経験はお有りなのではないでしょうか。

 私の経験(失敗)談はこのくらいにして『人材』について、もう少し考えてみることにします。経営者は社員に対して何を望むのでしょうか。

1. 経営者と同等の能力(顧客開拓能力あるいは販売能力)

2. 経営者的思考及びセンス

3. 部下の統率能力(リーダーシップ)

4. 新規業態開発能力

等々ですが、このように列挙してみるとこれはいずれも社長がもっていなければならない素質ですよね。新規開業100社のうち生き残れるのは2.3社という狭き門を潜り抜けた社長はいわばスーパーマンであって、その経験もない社員にいきなり望むのはやはり無理でしょう。それではどうするか。時間と金をかけて教育するしかない。禅のほうに「坦雪埋井」(たんせつまいせい)という言葉があるのですが「雪を担いで井戸を埋める」ということだそうです。つまり、井戸に入れてもすぐ溶けてしまう雪を担いで埋まるまで繰り返す。ということだそうです。私も毎週月曜日の午前中、雪を井戸に入れているのですがさっぱり埋まる気配がないのが事実です。でも雪を入れない限りは成長はありえないのですから入れ続けるしかないのです。

 ところで京セラの稲盛和夫さんの本に「実学」という本があります。その55ページに松下幸之助氏の「ダム式経営」のことが書かれています。少し引用しますと

幸之助氏は会社を経営する際、ダムを作ることで川がいつも一定の水量で流れているように、「ダムの蓄え」を持って事業を進めていかなければならないと説かれた。話の後の質疑応答の際に、聴衆の一人が「どうやったらそのような余裕のある経営ができるのでしょうか?」と尋ねた。幸之助氏は、「その答えは自分も知りません。しかし、そのような余裕のある経営が必要だと思わな、あきませんな。」と答えた。聴衆の多くは、この答えに笑ったが、私はこの言葉に深く心を動かされた。何かを成そうとするときは、まず心の底からそうしたいと思い込まなければならない。「わかっているけど、現実にはそんなことは不可能だ。」と少しでも思ってしまったら、どんなことも実現することはできない。どうしてもこうでなければならない、こうしたいという、強い意志が経営者には必要なのである。

と稲盛和夫さんは書かれています。

 『人材』も同じではないでしょうか。社長自身が「こうしたい」と心の底から強く思い込むことによって時間はかかるかもしれませんがいずれ素晴らしい『人材』が育つのではないでしょうか。私もこれを書きながら「井戸を埋めること」だけ考えるのではなく「こうしたい」という明確なイメージをプラスすることを忘れているのに気づいた次第です。

author:吉村 以知郎, category:2009年, 12:06
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